年金の「時効特例法案」反対討論で登壇
02/06/07 01:45
6月1日の夜中、午前0時過ぎ。社会保険庁関連法案を審議する衆議院本会議において、与党提出の年金時効撤廃法案への反対討論を行いました。
いわゆる「消えた年金」の「救済法案」に民主党は反対するということで、奇異に思われる方がいらっしゃるかもしれません。しかし、「消えた年金」問題をいち早く指摘し、平成16年から取り組んできたのは民主党であり、その民主党が反対するのは与党提出の法案では被害者の正当な権利を回復できないからなのです。以下、理由を挙げます。
与党案では5年間の時効の適用除外を定めていますが、これまで被保険者等の申し出により社会保険庁が自らの記録の不備を認め、記録の訂正に応じたのはわずか84人に過ぎません。これに対して、領収証等の証拠が無いため記録の訂正に応じなかった対象者は2万0635人にもなっています。つまり「消えた年金」被害者の0.4%しか救済されません。
また、与党案では、第4条において政府が年金の納付記録について「正確な内容とするよう万全の措置を講ずる」とありますが、その具体的内容が明らかでなく、また期限も区切っていません。さらに、記録の確認ができない被保険者等については、社会保険庁が未納を証明できない限り、その主張が正当であるとの前提に立って対応することが必要です。いくら時効の適用除外にしても、被保険者等に納付の立証責任を課せば、これまでとまったく変わらないことになります。つまり、被害者救済には立証責任の転換が必要なのです。
安倍総理は「記録の訂正」について、「第三者機関」で調査を行うとしています。「第三者機関」で個人の年金記録の訂正を審議するのであれば、資料や情報の収集が不可欠であり、また、事務の性格上、守秘義務を課す必要があります。明らかに「第三者機関」には法的根拠が必要ですが、与党案にはこの「第三者機関」については、まったく触れていません。その正体はまったく不明なのです。
さらに、「消えた年金」問題は政府の記録管理のずさんさに基づくものであり、また今後の救済策の実施も政府が責任を負うものです。議員立法形式をとることによって政府の責任を曖昧になるばかりか、提案者個人が政府に対する監督権を有しないことから、その国会答弁に責任を負う能力を有していません。法案の実効性、国会審議の意義について重大な懸念があるのです。
以上のようにさまざまな欠陥を持つ与党案は、国民の年金問題に対する怒りを背景に急落した支持率を回復したいという安倍総理の参議院選挙対策にほかなりません。民主党が腰を据えてじっくり取り組み、5月8日にすでに提出した「消えた年金記録被害者救済法案」と違って、与党案(「安倍内閣救済法案」といってもいいでしょう)はわずか1日で作成され、審議時間はわずか4時間であったのです。
「消えた年金」で給付不足に陥っている、陥りかねない方々は数百万人にも及ぶ可能性があります。これらの皆さんを救済するのは急ごしらえの与党案ではなく、民主党案なのです。与党が本気で被害者を救済するというのなら、既に委員会に付託されている民主党案を正々堂々と審議すべきではありませんか。